事件の概要

  • トラックやバスのディーゼルエンジンの性能を実際より良く見せるため、不正な手法で排ガスや燃費のデータを測定し、国土交通省から認証を得ていた。
  • 不正が行われたのは中型トラック向けエンジン1機種と、大型トラック・観光バス向けエンジン2機種で、出荷を停止している。
  • 国内の累計販売台数は約11万3000台。
  • 国からの認証を得るための排出ガス浄化性能を見る試験(排出ガス・燃費性能試験)の途中で、本来、変えてはいけない部品を交換したり、燃費の測定機器の設定を変えて基準を満たすようにしていた。
  • 経済産業省から、4点の指示(①事実関係の究明、②情報提供など顧客・取引先への適切な対応、③問題の経緯や今後の対応についての十分な対外説明、④原因の徹底究明、再発防止策の実施)

コメント(課題・問題点・防止策等)

  • 自社での検査は不正がないという性善説で成り立っています。
  • 自社基準をきつくして超過した場合にそのまま出荷するというパターンの場合は、規格の最低基準を満たしているため、安全性に問題がないという場合が多いですが、今回は、不正な認証のため、品質が担保できないということになると思います。
  • どのような不正にせよ、不祥事が表に出るのは、内部告発等の可能性もあります。
  • 組織の中には不正を許さないという社員もいるので、いつまでも隠し通せるものではありません。
  • 公表資料では「北米市場向け車両用エンジンについて、社内にて排出ガス認証に関する課題を認識した」とありますが、よくわからない説明ですね。
  • 三菱自動車が同様の燃費不正データのカタログの数値で、景品表示法の不当表示(優良誤認)による措置命令を受けて、億単位の課徴金が課されたことを考えると、もし、景品表示法違反となった場合は、同様の措置がされるかもしれません。ただし、トラックの場合は消費者取引ではないので景品表示法の対象にならない可能性もあります。

経済産業省 公表資料 日野自動車(株)の排出ガス・燃費性能試験における不正行為に対して、事実関係の究明等の指示を行いました 2022年3月4日

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日野自動車(株)の排出ガス・燃費性能試験における不正行為に対して、事実関係の究明等の指示を行いました
2022年3月4日
ものづくり/情報/流通・サービス

 本日、日野自動車(株)より、トラック及びバス用のエンジンについて、排出ガス・燃費性能試験における不正行為があった旨の報告を受けました。
 燃費性能等に関する不正行為は、消費者の信頼を損なうものであり、大変遺憾です。
 これを踏まえ、経済産業省は、同社に対し、①事実関係の究明、②顧客・取引先への適切な対応、③十分な対外説明、④原因の徹底究明・再発防止策の実施を指示し、事実関係については速やかに報告するよう求めました。
 今後、報告内容を精査し、関係法令に照らして、厳正に対処してまいります。

1.日野自動車からの報告概要
・中型エンジン(1機種)の排出ガス性能に関し、排出ガス処理装置の長距離耐久試験において、部品を途中で交換し試験を継続した。排出ガスを浄化する装置が経年劣化し、長距離走行後の排出ガス性能が基準に満たない可能性がある。
・大型エンジン(2機種)の燃費性能に関し、不適切な試験機器の設定で燃料流量の測定を行い、燃費性能が基準(諸元値)に満たない。
・小型エンジン(1機種・既に生産終了)の燃費性能に関し、燃費性能が基準(諸元値)に満たない。(原因は調査中)
・不正行為のあったエンジンの搭載車については、自主的に出荷を停止するとともに、既に税制優遇を受けている車両については、影響を精査し、追加納付が必要な場合は同社が負担する。
・事案の全容解明及び再発防止策を検討するため、外部有識者による特別調査委員会を設置する。

2.経済産業省の対応
(1)日野自動車からの報告を踏まえ、同社に対し以下4点を指示するとともに、事実関係については速やかに報告するよう求めました。 

1.事実関係の究明
2.情報提供など顧客・取引先への適切な対応
3.問題の経緯や今後の対応についての十分な対外説明
4.原因の徹底究明、再発防止策の実施

(2)生産停止に伴う同社のサプライヤー等への影響を速やかに調査し、必要な対策について検討を行います。

https://www.meti.go.jp/press/2021/03/20220304007/20220304007.html

日野自動車 公表資料 エンジン認証に関する当社の不正行為について(PDF | 390.9 KB)2022.03.04

ニュース>2022.03.04>経営

エンジン認証に関する当社の不正行為について(PDF | 390.9 KB)No. 22-005(1/5)
2022 年3 月4 日

エンジン認証に関する当社の不正行為について

 日野自動車株式会社は、日本市場向け車両用エンジンの排出ガスおよび燃費に関する認証申請における不正行為を確認しました。
 中型エンジン「A05C(HC-SCR)」は排出ガス性能の劣化耐久試験において、大型エンジン「A09C」および「E13C」は認証試験の燃費測定において、それぞれエンジン性能を偽る不正行為があったことを確認し、エンジン性能に問題があることも判明したため、本日、これら3 機種とその搭載車両の出荷停止を決定しました。小型エンジン「N04C(尿素SCR)」についても、不正の有無は判明していないものの燃費性能の問題が判明したことから、これら4 機種について、国土交通省および経済産業省に報告いたしました。
 お客様をはじめとするステークホルダーの皆様には、多大なるご迷惑をおかけすることとなりましたこと
を深くお詫び申し上げます。
1.経緯
 北米市場向け車両用エンジンについて、社内にて排出ガス認証に関する課題を認識したことから、外部弁護士の主導の下、自主的に調査を開始し、現地当局への報告を実施しました。これまでの間に米国司法省からの調査も開始されており、当社は当局の調査に全面的に協力しております。

(以下は公表資料を参照してください)

https://www.hino.co.jp/corp/news/assets/1e2b03e47e24f9ab3141eed3c07cabfe.pdf

ニュース記事の紹介

※下記に紹介している記事や動画は時間の経過とともに削除される場合がありますのでご了承ください。また、新しいニュースがあれば追加します。

【ANN】日野自動車 エンジン性能の試験で不正 出荷停止に(2022年3月4日)2022/03/04

日野自動車 エンジン性能の試験で不正 出荷停止に[2022/03/04 18:45]

 エンジン性能の試験で不正行為があり、出荷を停止します。

 日野自動車・小木曽聡社長:「深くおわび申し上げます。誠に申し訳ございませんでした」

 トラックメーカー大手の日野自動車はエンジンの性能を確認する試験で不正行為を確認したと明らかにしました。

 国からの認証を得るための排出ガス浄化性能を見る試験の途中で本来、変えてはいけない部品を交換したり、燃費の測定機器の設定を変えて基準を満たすようにしていました。

 国内で販売する4割弱が出荷停止の対象になるということです。

https://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000246825.html

【読売新聞】日野自動車、排ガス・燃費データで不正行為…会長「経営の責任は大変重い」2022/03/04

日野自動車、排ガス・燃費データで不正行為…会長「経営の責任は大変重い」
2022/03/04 22:25

 トヨタ自動車グループの日野自動車は4日、トラックやバスのディーゼルエンジンの性能を実際より良く見せるため、不正行為を行っていたと発表した。不正な手法で排ガスや燃費のデータを測定し、国土交通省から認証を得ていた。一部車種は国の環境基準を満たしていない恐れがあり、リコール(回収・無償修理)を検討する。国交省は同日、実態解明に向けて同社工場への立ち入り調査などを行うと発表した。
国土交通省

 日野によると、不正が行われたのは中型トラック向けエンジン1機種と、大型トラック・観光バス向けエンジン2機種。中型トラック「日野レンジャー」や大型観光バス「日野セレガ」などに搭載されている。国内の累計販売台数は約11万3000台で、いすゞ自動車の大型観光バスでも使われている。トラックの走行や安全性に問題はないとしている。日野といすゞは、不正があったエンジンを搭載したトラック、バスの出荷を停止した。

 不正は、耐久性を測る試験にもかかわらず試験の途中で浄化装置を新しいものに取り換えたり、実際より燃費の数値が良くなるよう測定装置を不正に操作したりしていた。いずれも、遅くとも2016年から行われていたという。

 日野の 下義生 会長は、東京都内で開いた記者会見で「あってはならない不正行為。経営の責任は大変重い」と述べた。日野は今後、外部の有識者で調査委員会を設置して不正の経緯や原因を調べる。

 一方、国交省は、不正を認定すれば、道路運送車両法に基づき、不正のあった車種の認証取り消しや、会社への是正命令を出す可能性がある。

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20220304-OYT1T50244/

【TBSNEWS】日野自動車 排出ガスの不正データ提出の疑い 国交省が調査へ 2022/03/04

日野自動車 排出ガスの不正データ提出の疑い 国交省が調査へ
4日 13時19分
トラックメーカー大手の日野自動車が排出ガスなどについて不正なデータを国に提出していた疑いがあることがわかりました。

関係者によりますと日野自動車はエンジンの排出ガスなどの数値について不正なデータを所管官庁である国交省に提出していた疑いが出ています。日野自動車は、このデータでトラックなどの生産に必要な認証を取得していた可能性があります。

日野自動車はきょう午後4時から都内で記者会見を開いて、詳しい内容を説明するとしています。

国土交通省も日野自動車から報告を受けていて、本格的な調査を行う方針です。

【NHKNEWSWEB】日野自動車 排出ガスなどデータ不正の疑い 国交省が調査へ 2022年3月4日

日野自動車 排出ガスなどデータ不正の疑い 国交省が調査へ

2022年3月4日 12時09分

トラックメーカー大手の日野自動車が、エンジンの排出ガスなどの数値について不正なデータを国に提出して生産に必要な認証を取得し、一部のエンジンが法律で定められた基準を満たしていない疑いがあることが関係者への取材で分かりました。

日野自動車は、4日にも具体的な内容を公表する見通しです。

国土交通省も概要を把握していて、本格的な調査を始める方針です。

関係者によりますと、日野自動車は、エンジンの排出ガスや燃費を評価する試験について、正しい手順で行わず、こうして得られた不正なデータを国に提出して、車両の生産に必要な「型式認証」を取得していた疑いがあるということです。

その結果、一部のエンジンで排出ガスの数値が法律で定められた「保安基準」を満たしていないおそれがあるということです。

日野自動車は近く、4日にも具体的な内容を公表する見通しです。

NHKの取材に対し「ノーコメントだ」と話しています。

国土交通省も、今回の不正の疑いについて概要を把握していて、本格的な調査を始める方針です。

トラックの国内シェアの30%余りを占める日野自動車は、おととし、日本で製造してアメリカとカナダの工場に出荷している3種類のエンジンが、アメリカの規制当局から基準を満たしていないと指摘を受け、現地でのトラックの生産を停止していて、国は関連を調べることにしています。

自動車業界では、6年前に三菱自動車工業が不正な方法で燃費を測定していた問題が明らかになり、国は自動車メーカーに再発防止の徹底を求めていました。

【NHKNEWSWEB】日野自動車 排出ガスなどで不正データ 業績への影響避けられず 2022年3月5日

日野自動車 排出ガスなどで不正データ 業績への影響避けられず
2022年3月5日 7時33分

エンジンの排出ガスや燃費に関する国の認証試験で不正が明らかになった日野自動車は、このエンジンを積んだ車の出荷を停止します。対象車種は日野の国内販売のおよそ3分の1にのぼり、長期の出荷停止も予想されることから業績への影響は避けられない見通しです。

日野自動車では4日、エンジンの排出ガスや燃費について不正なデータを国に提出して、生産に必要な「型式認証」を取得していたことが明らかになり、このエンジンを積んだトラックとバスの出荷を停止しました。

これらの車種は国内販売の35%にのぼり、会社は出荷停止の期間が長期化する可能性もあるという見方を示しました。

4日の記者会見で小木曽聡社長は「出荷停止に伴う費用などを今後、引き当てていき、明確になり次第、明らかにする」と述べました。

今後は出荷停止に伴う売り上げの減少に加え、燃費の不正では優遇税制に基づいた減税額が変わる可能性もあり、顧客の税負担が増えた場合は会社が肩代わりをする見通しです。

日野は昨年度、新型コロナウイルスの影響で需要が低迷したことなどから70億円余りの最終赤字を計上しました。

半導体など部品不足が続く中、主力車種の出荷を当面停止することなどで業績への影響は避けられない見通しで、不正の再発防止と合わせていかに経営を立て直していくかも課題となります。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220305/k10013514991000.html

【ANN】排ガスデータなど改ざん 日野自動車本社に国交省が立ち入り調査(2022年3月7日)2022/03/07

排ガスデータなど改ざん 日野自動車本社に国交省が立ち入り調査[2022/03/07 17:00]

 不正なデータを国に提出していた問題で、日野自動車の本社に立ち入り調査です。

 国交省は7日、日野自動車がエンジンの排ガスや燃費の性能で不正なデータを国に提出していた問題を受け、本社の立ち入り調査をしています。

 国交省によりますと、エンジンを生産するのに必要となる審査に提出するデータを取る際に排出ガス試験の途中で部品を新品に交換したり、燃費が良くなる設定にしたりして試験をするなどしていたということです。

 国交省は調査の結果によりエンジンの大量生産に必要な「型式認証」の取り消しなどを判断するとしています。

https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000247109.html