事件の概要

  • 「小規模事業者持続化補助金」に関し、鹿児島県商工会連合会の男性職員が補助事業について、経済産業省に対して、事実と異なる実績報告を行っていた
  • 「小規模事業者持続化補助金」は、事業者が販路拡大などを行う際、上限50万円で事業費の3分の2を補助する制度
  • 見積もりや納品書を改ざんし、2014~2018年度まで、59件586万円、1件あたり数万円を水増し、増額分も事業者に支払われていた
  • 「実績を上げたかった」などと説明し、見返りや着服はしていなかった
  • 経済産業省は鹿児島県商工会連合に対して厳重注意処分
  • 当該職員は依願退職
  • 再発防止策として、複数の職員でチェックする体制とする

コメント(課題・問題点・防止策等)

  • 私もこの補助金を申請したことがあるのですが、なかなか理解に苦しむ事件
  • もしかすると、当初事業者が申請した補助金額に対して、実際の申請額が少なかったことで、なんとか申請額いっぱいまで実績を上げたかったのかもしれません
  • この補助金は人気がある競争率が高い事業なので、そこまで無理しなくても、十分な実績を出せると思うのですが、思うところがあったのかもしれません。
  • 再発防止策として、複数人でチェックするとのことですが、業務量が多い中、他の会議所等でも、複数人チェックをやっているのかどうかは分かりません。
  • 私も一時期補助金の事業の事務を担当したことがありましたが、メインの担当者がチェックした後に、ペアの担当者もチェックするダブルチェック体制でした。数と金額が多い事業者では大変な作業量でした。
  • 「小規模事業者持続化補助金」の事業は、そんなに総額上限75万なので、たいした量ではないと思いますが、事業者が慣れていないので、適正な領収書かなど、結構面倒かもしれません。

【経済産業省のプレスリリース】小規模事業者持続化補助金の執行について(厳重注意)(2021年6月25日)

経済産業省HP
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小規模事業者持続化補助金の執行について(厳重注意)

2021年6月25日
その他

経済産業省は、小規模事業者持続化補助金の執行について、以下の事業者に対して、本日付けで書面による厳重注意を行いました。
(1)対象事業者
鹿児島県商工会連合会(法人番号 1340005001504)
(2)本件の概要
当省所管の小規模事業者持続化補助金に関し、鹿児島県商工会連合会の職員が補助事業について、事実と異なる実績報告を行っていた事実が判明しました。

「経済産業省所管補助金交付等の停止及び契約に係る指名停止等措置要領」に基づき、当省への迅速な報告、再発防止策の徹底等の特別な事情を勘案し、同連合会に対し、今後、同補助金の執行業務を適正に実施するよう書面による厳重注意を行いました。

https://www.meti.go.jp/press/2021/06/20210625011/20210625011.html

ニュース記事の紹介

※下記に紹介している記事や動画は時間の経過とともに削除される場合がありますのでご了承ください。また、新しいニュースがあれば追加します。

【南日本新聞】元職員が補助金59件586万円を水増し請求 経産省、鹿児島県商工会連合会を厳重注意

2021/07/14 11:09
元職員が補助金59件586万円を水増し請求 経産省、鹿児島県商工会連合会を厳重注意


南日本新聞ニュース 鹿児島県商工会連合会の30代男性職員が2014~18年度、小規模事業者への補助金59件計約586万円を水増し請求していたとして、経済産業省は13日までに、同連合会に文書で厳重注意した。男性は発覚前に依願退職していたが、不正を認め全額を弁済した。同連合会は「着服や申請事業者からの見返りは確認されていない」としている。

 中小企業庁と同連合会によると、男性は「小規模事業者持続化補助金」の申請を担当。事業者が販路拡大などを行う際、上限50万円で事業費の3分の2を補助する制度で、男性は提出された見積もりや納品書を改ざんしていた。1件あたり数万円を水増し、増額分も事業者に支払われていた。男性は「実績を上げたかった」などと説明したという。担当地区は明らかにしていない。厳重注意処分は6月25日付。

 20年3月に内部からの指摘で発覚。男性は19年末に依願退職していたが、同連合会などが調査していた。同連合会は「不正は大変遺憾。申請は複数の職員でチェックするよう改め、再発防止策を徹底する」としている。

https://373news.com/_news/line.php?storyid=140284(リンク切れ)

(追加)ニュース記事の紹介

【南日本新聞】補助金不正 鹿児島県商工会連の処分 経産省、直前に基準変更 「改正時期 偶然重なった」2022/01/25

補助金不正 鹿児島県商工会連の処分 経産省、直前に基準変更 「改正時期 偶然重なった」
2022/01/25 12:06

 鹿児島県商工会連合会が小規模事業者への補助金を不正請求したとされる問題を巡り、経済産業省が当初は処分を「補助金停止」で検討しながら、直前に省内の要領を改正し、より軽い「厳重注意」としていたことが分かった。同省は「処分とは別に改正の議論を進めており、時期が偶然重なった」としている。

 2021年6月25日付の処分は同連合会の男性職員が14〜18年度、「小規模事業者持続化補助金」の59件計約586万円を水増し請求したとする内容。同連合会などの当時の説明では、男性は事業者の提出書類を改ざんし、増額分は事業者に支払われていた。男性が依願退職した後の20年3月、内部からの指摘で発覚。男性は「実績を上げたかった」などと不正を認め、全額を弁済したという。

 経産省会計課によると、報告を受けて同省は21年1月、有識者に意見聴取。これを踏まえ、同2月に処分は「4〜6カ月の補助金停止」で検討した。

 一方、同省は新型コロナウイルス対策の持続化給付金で不正が相次いだことを受け、補助金の透明化などに向けて20年6月から有識者による検討を始め、21年6月21日に処分基準となる措置要領を改正。それまでは「情状に応じて、期間を定め補助金交付停止措置を行う」などとしてたが、「書面または口頭で警告、注意の喚起」とする基準などを加えた。改正4日後の25日、この追加基準に基づき同連合会を処分した。

 同課は「改正前の要領でも同連合会への厳重注意は可能だった。有識者の提言に基づき適切に改正した。基準を緩和して処分したわけではない」としている。

https://373news.com/_news/storyid/150379/(リンク切れ)

【朝日新聞】経産省、補助金不正の処分直前に基準を変更 軽い「厳重注意」を新設 2022年1月24日

経産省、補助金不正の処分直前に基準を変更 軽い「厳重注意」を新設
2022年1月24日

 中小事業者向けの補助金事業をめぐり、不正請求をした鹿児島県商工会連合会に対して経済産業省が処分を出す直前に、省内の基準を改正して比較的軽い「厳重注意」を加え、それを適用していたことがわかった。同省は当初、もっと重い「交付停止処分」を検討していたことを認めたうえで、「改正はこの事案のためではない」としている。

 不正請求は昨年6月、同省が公表。商工会の30代男性職員が2014~18年度、販路開拓などを支援する「小規模事業者持続化補助金」を同会の事業者が受給する際に、その申請書を改ざんするなどして水増し請求。計59件約586万円を不正に交付させた。動機について経産省は「補助金交付の実績を増やしたかったようだ」と説明する。

 朝日新聞は経産省の処分に関する内部文書を入手した。文書や取材によると、昨年1月に会計士や弁護士など有識者5人から、どの程度の処分が妥当か参考意見を聴いた。有識者は「(職員が)故意に改ざんを行っていたのはきわめて悪質」などと指摘。処分基準に基づき「4~6カ月の補助金交付停止」の処分が妥当との意見を出していた。

 経産省会計課が3月にまとめた処分の原案では「(商工会は)5年にわたって改ざんを看過した監督責任」があるなどの理由で、4~6カ月の補助金交付停止としていた。

 一方、経産省は処分基準の見直しを進め、6月21日に同省の処分基準「補助金交付などの停止および契約にかかる指名停止など措置要領」を改正し、不正があった場合は「情状に応じて、期間を定め補助金交付停止措置を行う」などとしていたが、比較的軽い「書面または口頭で警告、注意の喚起」の処分内容を追加。その4日後に商工会への処分に適用していた。

 今回の処分について、経産省会計課は朝日新聞の取材に「一時は交付停止の処分を検討した」と認めた上で、「事件後、商工会の運営体制が見直された。不正請求分が弁済されたことなどから現在の処分とした」と説明。処分基準の改正については、「たまたま時期が重なった。この事案のためではない」とした。

 経産省の補助金の交付事務を受託した団体や企業が不正を働いた事案は2009年3月以降、公表ベースで5件あり、不正金額は4万~500万円。1件は今回と同様、事務局による不正で、4件は事務局から申請書類の精査などをさらに委託された業者が不正を働いていた。5件のいずれも不正請求額を返還したうえで、経産省の補助金の交付停止処分を受けている。

https://www.asahi.com/articles/ASQ1R5H5KQ1RULFA00K.html