事件の概要

  • 亀田製菓「190g亀田の柿の種6袋詰」と久慈食品「柿ピー21袋」のデザインが類似していると亀田製菓が主張
  • 久慈食品に対して不正競争防止法に基づく製品の製造・販売差し止めを請求する仮処分命令を東京地方裁判所に申し立て
  • この件について亀田製菓は12/7にプレスリリース

コメント(課題・問題点・防止策等)

  • 類似デザインに関する訴訟はよくみかけます。
  • 商標ではなく、不正競争防止法なのですね。過去に商標についていろいろあったようです(下記の別訴訟の解説参照)。
  • デザイン類似は難しい。結局は裁判で判断してもらうことになる。
  • 実は2012年にも同じような事例で訴訟をしたことがあり、同じく不正競争防止法による販売差し止めとプラスして損害賠償請求でした。
  • 弁護士が詳しく解説している記事があるので参考にしてください(非常に勉強になり、これを前提に今回の事例を見てみると面白いです)
    2013年12月25日 亀田製菓VS宮田:柿の種パッケージ訴訟

亀田製菓「190g亀田の柿の種6袋詰」と久慈食品「柿ピー21袋」のデザインの比較

画像は亀田製菓 プレスリリース「株式会社久慈食品に対する差止め等仮処分命令申立てに関するお知らせ」から引用

亀田製菓 プレスリリース「株式会社久慈食品に対する差止め等仮処分命令申立てに関するお知らせ」

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株式会社久慈食品に対する差止め等仮処分命令申立てに関するお知らせ【PDF】

https://www.kamedaseika.co.jp/cs/?p=news.newsNews

株式会社久慈食品に対する差止め等仮処分命令申立てに関するお知らせ

当社は、2021年12月7日付で、株式会社久慈食品に対して、不正競争防止法等に基づく製品の製造・販売の差止め等を請求する仮処分命令申立て(以下「本件申立て」といいます。を東京地方裁判所に行いましたので、下記のとおりお知らせいたします。



2.本件申立てに至った経緯
 当社は、1966年に「ピーナッツ入り柿の種」を発売しました。そして、1977年には6分包の個装を大袋に詰めた商品(以下「当社製品」といいます。)を「フレッシュパック柿の種」という商品名で製造・販売し、その後、商品名を「190g亀田の柿の種6袋詰」に変更し、現在まで製造・販売を継続しております。
 当社は、1994年以降、当社製品について、類似品との差別化を図るため現在の配色を基調としたパッケージデザインを採用し、2016年から現在に至るまで現行のデザインを採用しております。
 しかし、株式会社久慈食品が製造・販売している「柿ピー21袋」という商品名の、21分包の個装を大袋に詰めた商品(以下「相手方製品」といいます。)のパッケージデザインが、当社製品のパッケージデザインと類似しており、お客様が相手方製品を当社製品と誤認する恐れがあると思料しております。
 そこで、当社は、株式会社久慈食品に対し、相手方製品の販売の中止及びパッケージデザインの変更等を求めた警告並びに違法性に関する説明を再三行ってまいりました。
 しかしながら、株式会社久慈食品はその要求に応じず、依然として、相手方製品の販売を継続する意思を示しております。
 そこで、当社は、お客様の誤認混同を防止し、当社製品のブランドを保護するために、やむを得ず、株式会社久慈食品に対する本件申立てを行いました。

https://www.kamedaseika.co.jp/admin/images/irInfo/upload/731.pdf

ニュース記事の紹介

※下記に紹介している記事や動画は時間の経過とともに削除される場合がありますのでご了承ください。また、新しいニュースがあれば追加します。

【食品新聞】「柿の種」類似品に仮処分申請 亀田製菓 2021年12月10日

「柿の種」類似品に仮処分申請 亀田製菓
2021年12月10日
「190g亀田の柿の種6袋詰」㊤と久慈食品「柿ピー21袋」
「190g亀田の柿の種6袋詰」㊤と久慈食品「柿ピー21袋」
亀田製菓は7日、久慈食品に対して不正競争防止法に基づく製品の製造・販売差し止めを請求する仮処分命令申し立てを東京地方裁判所に行った。

同社の主力商品「190g亀田の柿の種6袋詰」を1994年以降、他社製品との差別化を図るため現在の配色を基調としたパッケージデザインを採用し、2016年から現在に至るまで現行のデザインで展開している。しかし、久慈食品が製造・販売している「柿ピー21袋」のパッケージデザインが類似し消費者が誤認する恐れがあるため、再三パッケージデザインの変更などを求めた警告ならびに違法性に関する説明を行ってきたが、「柿ピー21袋」の販売を継続する意思を示したため本件申し立てに至った。

https://shokuhin.net/50125/2021/12/10/nocategory/

過去の類似訴訟(とても良い記事ですので是非読んでください)

4. 訴訟ポイント
 請求内容からは、少しトーンダウンした和解内容だと思います。

その理由として、

(1)商標権侵害として訴訟を起こせなかったこと、

(2)裁判でパッケージが類似すると認めさせるのが困難であったこと、

(3) パッケージの類似だけでは、相手製品の売上高に対する寄与度が高くならない可能性があったこと、

が考えられます。

http://p-nic.com/ip/2013/691.html